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東京高等裁判所 平成10(行ケ)198 知的財産裁判例

平成10年(行ケ)第198号 特許取消決定取消請求事件

平成11年7月27日口頭弁論終結

判 決

原 告 ソマール株式会社

代表者代表取締役 A

訴訟代理人弁理士 B

同 C

B訴訟復代理人弁理士 D

被 告 特許庁長官 E

指定代理人 F

同 G

同 H

同 I

主 文

特許庁が平成8年異議第70488号事件について平成10年4月27

日にした取消決定を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第1 原告が求めた裁判

主文同旨の判決

第2 当事者間に争いのない事実

1 特許庁における手続の経緯

原告は、発明の名称を「静電塗装用エポキシ樹脂粉体組成物」とする特許第25

06576号の特許発明(平成2年12月28日に出願、平成8年4月2日に特許

権設定登録、以下「本件発明」という。)の特許権者である。

本件発明の特許については、特許異議の申立てがあり、特許庁は、これを平成8

年異議第70488号事件として審理した結果、平成10年5月21日に「特許第

2506576号の特許を取り消す。」旨の取消決定(以下「本件取消決定」とい

う。)をし、同年6月1日にその謄本を原告に送達した。

2 本件取消決定の理由の要点

本件発明は、特開平2-178360号公報に記載された発明と同一であるか

ら、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものである。

3 訂正審決による特許請求の範囲の訂正

(1) 本件発明の特許請求の範囲の請求項1の記載は、本件取消決定の当時、次のと

おりであった。

「固形エポキシ樹脂と硬化剤を含有する粒度3~180μm、体積抵抗率10

Ω・cm以上の粉体エポキシ樹脂組成物に、平均粒径0.05~1μmのアクリル

樹脂粉体をドライブレンドし、該粉体エポキシ樹脂組成物の表面にアクリル樹脂粉

体が付着した樹脂粉体からなり、該アクリル樹脂粉体が全樹脂粉体中0.01~5

重量%であることを特徴とする静電塗装用エポキシ樹脂粉体組成物。」

(2) 原告は、本件取消決定後に本件明細書の訂正をすることについて審判を請求

し、特許庁は、これを平成10年審判第39090号事件として審理した結果、平

成11年5月11日に上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」とい

う。)をし、本件訂正審決は確定した。

(3) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲請求項1の記載は、次のとおりで

ある(下線部が訂正により追加ないし変更された箇所である。)。

「静電塗装によりスロット内を塗装するために用いられる粉体組成物であって、

該組成物は、固形エポキシ樹脂と硬化剤を含有する粒度3~180μm、体積抵抗

率10

Ω・cm以上の粉体エポキシ樹脂組成物に、平均粒径0.15~0.6μm

のアクリル樹脂粉体をドライブレンドし、該粉体エポキシ樹脂組成物の表面にアク

リル樹脂粉体が付着した樹脂粉体からなり、該アクリル樹脂粉体が全樹脂粉体中

0.2~0.4重量%であることを特徴とする静電塗装用エポキシ樹脂粉体組成

物。」

第3 当裁判所の判断

1 本件訂正審決による訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであること

は明らかである。

特許法29条の規定に違反してなされた特許であることを理由に特許を無効とし

た審決の取消しを求める訴訟の係属中に、当該特許に係る特許請求の範囲の減縮を

目的とする訂正審決が確定したときは、審決は、判断の対象となるべき発明の要旨

の認定を誤ったものとして違法となると解すべきであるから、本件審決は、取消し

を免れない。

2 よって、本訴請求は、理由があるから認容することとし、訴訟費用の負担につ

いて行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

東京高等裁判所第6民事部

裁判長裁判官 山 下 和 明

裁判官 山 田 知 司

裁判官 宍 戸 充

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